発達障害は、体調管理面で問題に直面しやすい
発達障害は、ストレスなどから不調のリスクがある
発達障害は、先天性の脳機能の障害です。特徴として得手不得手のムラが激しいこと、その現れ方は個別に異なることなどがあります。これにより、周囲とのコミュニケーションや業務上のすれ違いなどからストレスを抱えることが多く、不調のリスクが高いのです。
参考:発達障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
参考:発達障害者の職業生活への満足度と職場の実態に関する調査研究
就労移行支援で、仕事を続けられる健康管理を学べる
1)就労移行支援事業所とは
「就労移行支援事業所」とは、障害者総合支援法に基づいて運営されている福祉サービスです。就業したい障害をお持ちの方に、個人の特性に合わせたスキルを習得することや、就職活動のサポートを受けることができる施設です。現在全国でおよそ3千カ所を超える事業所があります。
就労移行支援事業所では、あなたが事業所の支援スタッフの方と相談しながら、あなたの希望や生活環境に合わせて、主に
〇通所予定日=週何日通所するか
〇利用時間=一日何時間訓練するか
上記の2つを計画します。
企業が障害を持つ方に最も求めているスキルは、仕事のスキルや知識ではありません。重視していることは、実は「体調の安定」です。あなたが体調を崩さずに毎日安定して仕事をすることは、仕事で土台になる大切なスキルです。そのため、就労移行支援に休まず通所を続けることは健康管理の「トレーニング」になります。
「これから就労移行支援に通いたい」、または「通い始めたけど、ちゃんと休まずに通所できるのかな…」と不安の方に、通所を続けるため、さらには仕事を続けるための体調管理法をお伝えします。
【就労移行支援】発達障害を持つ方のための体調管理法
1)通う目的を明確にして、事前に訓練内容を計画する。
毎日、当日通所してから訓練内容を考えることはあなたに負担がかかります。
そのため例えば、
「データ入力の仕事がしたいから、今週はエクセルを学ぼう」
「デザイン系の仕事を希望しているから、今月はイラストレーターを学ぼう」
など、長期的に日々の訓練内容を計画しましょう。
毎日のスタートに「何を学ぶか考える」ことがなくなるぶん、気持ちの負担もなくなり体調のリズムも安定します。
そのためにまずは何を学びに通所するか、通う目的を明確にしましょう。
今どんな仕事につくために学んでいるか、目的が見えていれば通所することも楽しくなります。「まだ自分が何をしたいのか見付からない…」という方は事業所の支援スタッフの方に相談してみましょう。
2)疲労やストレスの原因を把握する。不調のサインを感じたら早めに対処する。
「雨の日は気圧が下がるから不調になりやすい・・」
「水曜日に疲れがたまりやすい。」
「外の雑音がうるさいと疲れてしまう・・」
これらのように事前にあなたの疲労やストレスになる原因を把握して、支援スタッフの方と共有しておきましょう。常に自分の体調にアンテナを張り、もし「具合が悪くなりそうだな」と感じたら、支援スタッフの方に伝えて訓練の内容や容量を調整しましょう。
「不調が長引きそうだな…」と感じた場合は、支援スタッフの方に伝えてしっかり休むことも大切です。「休んでしまうと出席率が下がるから…」と感じて無理をして通い続ける方がいます。しかし無理をして通所すれば、必ず体調を崩します。
何よりも苦しい中では、効率よく学ぶことはできません。それよりも早めに休んでリスタートした方が、少ない欠席数で済みます。こういった不調時の対処も、仕事を続けるために必要なスキルです。就労移行支援でしっかり学んでおきましょう。
自身の体調を知るコツ=アンテナの張り方として、毎日の体調を記録することをおすすめします。過去と今との比較から、「こんな時に具合が悪くなるのかな」と体調リズムが見えてきます。「どうやって管理したらいいか分からない・・」という場合は事業所の支援スタッフの方と相談してみてください。
3)定期的に事業所の支援スタッフの方と相談する。
就労移行支援では、定期的に事業所の支援スタッフの方と相談する機会があります。通所中は就職活動や、様々な特性を持った利用者の方との関わりでストレスを感じるかも知れません。そのため、定期的に支援スタッフの方と相談していきましょう。あなたが、
〇どんなストレスをためやすいか
〇ストレスになりやすい「くせ」はあるか
〇他の利用者の方とどう関わればいいのか
〇自分の特性とどう向き合えばいいのか
これらについて支援スタッフの方に伝えておきましょう。こうして伝えておくと自分の疲労に気付いていない時でも、支援スタッフの方が気付けば対処することができます。
「口頭でうまく伝えることが不安かも・・」という場合や、「支援スタッフの方に声をかけるタイミングが分からなくて、相談ができない・・」という場合は、メモを渡すことやメールやチャットを使用するなど、あなたがスムーズに伝えられる方法を見つけていきましょう。あなたひとりでストレスを抱え込まないことも、健康管理のスキルです。
在宅トレーニングができる事業所も!?
「就労移行支援を利用したいけど、電車やバスが苦手だから通所ができない…」
「自宅の近くに通える事業所がない・・」
という方はいませんか?
就労移行支援には、スカイプやチャットなどの通信技術を用いて自宅でトレーニングができる事業所もあります(詳細についてはこちらの記事を参考にしてください)。「在宅トレーニングなら通所できるかも。でもどうやって探したらいいのかな?」と迷うことがあれば、ぜひ下記の案内をチェックしてみてくださいね。
障害を持つ方へ。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
まとめ
いかがでしたか。今回の体調管理法の「悪い例」と「良い例」を整理しました。
【悪い例:あなたに負担がかかる方法】
〇通う目的を決めず、常に当日に訓練内容を考える。
〇体調が悪化するまで対処をしない。症状が出てから支援スタッフに申告する。
〇自分一人で抱え込む。ストレスになる原因などを支援スタッフと共有しない。
【良い例:体調をキープできる方法】
〇通う目的を明確にし、中長期の訓練計画を立てる。
〇体調にアンテナを張り、不調のサインを感じたら早めに対処する。
〇事前に自分の特性や、ストレスになる原因を支援スタッフと共有する。
この良い例の方法を参考にして、あなたが成長できる仕事を見つけていきましょう。
健康管理は、就職活動で一番大切な要素です。ただし「通所率100パーセント」を目標に就労移行支援に通うのは、本来の目的と異なります。何よりあなたにとって大きな負担になります。
一番大切なのは、体調を崩して通えなくなる前に対処する「リスタートできるスキル」です。無理をせず実りのある通所を続けるために、あなたがどんな判断をしたらよいか、よく事業所の支援スタッフの方と相談していきましょう。