退職代行を利用する前に知っておくべきこと 準備と借用品の返し方
退職代行とは? 利用のメリットについて
退職代行サービスは、独力で退職手続きを行うことが難しい人へのサポートを行うサービスです。
特に直接上司や人事担当者に退職の意向を伝えることに抵抗がある方や、残業代の未払いやハラスメントなど労働環境に問題があり、退職交渉が難航する可能性がある方は、退職代行を利用することで退職手続きがスムーズに進められます。
身体的・精神的な負担を軽減し、プロフェッショナルが間に入ることで法的な問題を回避しやすくなります。
スムーズに退職手続きが完了できるため、次のステップに進みやすくなります。
退職代行を利用する際の注意点
一方で、退職代行を利用する際には注意が必要です。
費用がかかること、会社との関係が悪化するリスクがあること、そして今後のキャリアに影響を与える可能性があることを理解しておきましょう。
また、退職のプロセスの中には、自分で行わなければならない部分もあります。
たとえば返却の必要がある、会社から借りているものをリストアップすることは、自分にしかできません。
これから、退職代行を利用するために必要な準備や、社員証などの借りているものをどのように返却するかについて詳しく解説していきます。
関連記事:退職代行とは? 未来につながる前向きな選択をサポート
退職に必要な書類一覧
必要な書類リスト
退職手続きを行うためには、いくつか必要な書類があります。
雇用形態や退職時の状況などにより必要な書類は変わりますが、主に下記のとおりです。
・[1]退職届
・[2]保険証(会社に返却するもの)・健康保険資格喪失証明書(保険証の返却後に受け取るもの)
・[3]離職票
・[4]源泉徴収票
それぞれ必要な場面と、用意の仕方を説明していきます。
[1]退職届
退職届とは? 退職願との違いは
退職願は会社へ退職を願い出るための書類です。
退職願を提出しても、上司や会社により退職を断られるケースもあります。
退職届は会社の意向にかかわらず、会社へ退職することを通告する書類です。
退職届を提出した場合は基本的に退職を撤回することはできません。
つまり、退職願と退職届は必要になるタイミングが異なります。
まず先に退職願を提出して会社へ退職の意志を伝え、上司や人事担当者などに退職を承諾された場合、相談のうえで退職日を決めて退職届を作成・提出するのが一般的な流れになります。
また、退職願は退職の意志を会社に伝える役割の書類であり、退職の意志が会社に伝われば必ずしも提出は必須ではありません。
つまり退職願の提出の代わりに、口頭やメールなどで退職の意志を会社に伝えるのでも構いません。
ただし、言った・言わないのトラブルを避けるためには、書面として残る退職願を提出することが有効です。
退職届の提出は、会社の就業規則に従って行います。
基本的には退職の一か月前までに退職届を提出する規則になっている場合が多いようです。
退職届が退職の承認権限を持つ担当者(本部の人事部長など)によって承認されて、退職届が受理された時点で、正式に退職が承認されたことになります。
労働基準法によって労働者には退職の自由が認められており、退職届が受理されないから退職できないということはありません。
また、退職願と同様、退職届も提出は必須ではなく、口頭でも退職の通告が行われれば退職できます。
ただしこれも退職願と同様、トラブルを避けるためには、書面として残る退職届を提出することが有効になります。
トラブル防止のためにも、スムーズに関係者に退職を伝えて退職手続きを進めるためにも、確実に上司や人事部に退職を通告し、退職日を伝える退職届の提出や提出期限が就業規則で定められている場合が多いです。
参考:労働相談Q&A|22.退職の自由|連合 よくある労働相談Q&Aコーナー
参考:退職届が受理されなくても退職は可能?/転職Q&A(内定・退職・入社) |転職ならdoda(デューダ)
参考:退職届を書かないとどうなる?求められた場合の対処法とあわせて解説! | Indeed (インディード)
まとめると、一般的な流れとしては下記のようになります。
①退職届の提出→②上司や人事担当者と相談して退職日程を決定→②退職届の提出→③退職届が承認されたら、職場の他の人に上司から退職のアナウンスが行われる
[2]健康保険証(会社に返却するもの)・健康保険資格喪失証明書(保険証の返却後に受け取るもの)
退職したら、健康保険証を会社に返却する必要がある
退職により社会保険の被保険者としての資格がなくなったとき、保険証は無効となり使用できまなくなります。
-
具体的な期限として、退職した場合、退職日までしか保険証は使用できません。
- 一般的には退職の当日に手渡しで返却することが多いようです。
紛失して保険証を返せない場合
保険証を紛失した場合はすぐに会社に連絡して再交付の手続きを行うのが一般的ですが、万が一紛失したことに気付かないでいて、退職の機会に返却することになり手元に保険証がない場合も、保険証を紛失した旨を会社に連絡しましょう。
外出時の紛失や盗難の可能性があるときは、紛失した保険証が悪用されることを防ぐために、念のために警察へも届け出ることをお勧めします。
退職日まで保険証を使いたい場合
保険証が失効するのは退職日の翌日であるため、退職日当日までは保険証を使うことができます。
退職日に通院で保険証を使いたい場合は退職日には保険証を返却できませんが、後日郵送などで返却できれば問題ありません。
健康保険資格喪失証明書が必要になるケース
退職により社会保険の資格を失うことになるので、次の保険に加入する必要があります。
「A.(転職先が決まっている場合)転職先の会社の社会保険に加入する」か、「B.(再就職しない場合)国民健康保険に加入する」か、「C.(再就職しない場合)任意継続被保険者として前職の健康保険を継続する」の3つのうちどれかを選択することになると思います。
このうち「B.国民健康保険に加入する」場合、健康保険被保険者資格証明書が必要になります。
「A.転職先の会社の社会保険に加入する」の場合でも、必要ない場合と必要になる場合があるので、転職先の会社の保険の加入手続きの際に確認しましょう。
「B.国民健康保険加入」と「C.前職の健康保険を任意継続」とどちらがよいのかは、再就職までの期間の長さや扶養家族の有無などにの状況により異なります。
保険料も異なるので、自分の状況に応じて試算を行い、適した方を選択しましょう。
参考:任意継続のご案内|全国健康保険協会 (PDF形式)
健康保険資格喪失証明書のもらい方
健康保険被保険者資格証明書は、多くの場合は特に依頼しなくても退職時(保険証の返却時)に交付されます。
ただし健康保険被保険者資格証明書の発行は会社の義務ではないので、会社によっては退職する本人が発行を依頼しなければ発行しない場合もあります。
また国民健康保険の加入手続きには期限があり、退職日の翌日から14日以内とされているため、それを見越して手続きに間に合うように健康保険被保険者資格証明書を手元に用意しておく必要があります。
さらに、健康保険資格喪失証明書をいつ発行できるかは、勤務先によって異なるため注意が必要です。
そのために、退職前に会社にいつ健康保険資格喪失証明書が発行されるかについて確認しておくことが大切です。
参考:健康保険資格喪失証明書とは?手続き方法を解説 | 経営者から担当者にまで役立つバックオフィス基礎知識 | クラウド会計ソフト freee
手元に保険証のない期間に保険証を使いたい場合はどうするの?
手続きや新しい保険証の発行のスケジュールによっては、手元に保険証がない期間が発生する場合もあります。
そのような場合に急病などで受診する必要がでてきた場合は、保険が使えず医療費が全額負担になるのではないか? と心配している人もいるかもしれません。
手元に保険証がない場合は、病院の窓口で医療費をいったん全額自己負担し、保険証が発行された後で手続きを行って、自己負担分を除いた額の費用を返金してもらうことができます。
返金手続きに必要なので、このときの医療機関が発行した領収証はかならず保管しておきましょう。
[3]離職票
離職票はなぜ必要か? いつ必要か?
離職票は退職後に失業保険の給付手続きをする際に必要な書類です。
したがって、次の勤務先(転職先)が決まっている場合には不要です。
離職票の発行は会社の義務ではないので、退職後に失業保険の給付を受けたい場合には会社に発行を依頼しておきましょう。
離職票はいつもらえる?
離職票は通常退職後2週間以内に郵送されることが多いですが、会社の手続き状況によっては時間がかかる場合もあります。
早めに離職票が手元に届くよう、退職前に人事部や総務部にいつごろ発行してもらえるのか確認しておくと良いでしょう。
期限内に届かない場合は、速やかに会社に問い合わせましょう。
離職票をもらうために必要なこと
離職票を確実に受け取るためには、2つのポイントを押さえておくことが重要です。
①まず退職前に離職票の発行を人事部に依頼し、必要な手続きを確認しましょう。
また、
②離職票を郵送で受け取るため、正確な住所を会社に伝えておくことが大切です。
退職後に住所変更がある場合は特に重要なポイントです。
この2つのポイントを実践することで、離職票の受け取りが遅れることを防ぎます。
さらに、離職票が届いたら内容を確認し、必要な情報が正確に記載されているかをチェックしましょう。
参考:離職票とは? いつ届く? 書き方、発行時の注意点、離職理由 – カオナビ人事用語集
参考:離職票とは?いつ届く?発行手続きや書き方、再発行のやり方 | 転職実用事典「キャリペディア」
[4]源泉徴収票
源泉徴収票はなぜ必要か、いつ必要か?
源泉徴収票は給与所得者の年間収入と納めた税金を記録した書類です。
この書類は確定申告や転職先での年末調整に必要となります。
確定申告をする場合、前職の収入を正確に報告するために源泉徴収票が求められます。
また、転職先では前職の収入を基に年末調整が行われるため、この書類が欠かせません。
源泉徴収票はいつもらえる?
源泉徴収票は通常、年末調整が完了した後に会社から発行されます。
具体的には、退職した年の翌年1月末までに郵送されることが一般的です。
ただし、退職時期によっては、退職後すぐに発行される場合もあります。
発行時期を退職前に会社に確認しておくと、スムーズに受け取ることができます。
源泉徴収票をもらうために必要なこと
源泉徴収票を確実に受け取るためには、下記のポイントを押さえておきましょう。
まず①退職前に人事部や総務部に源泉徴収票の発行を依頼し、発行時期を確認します。
②住所変更がある場合は、正確な住所を会社に伝えておくことが重要です。
これにより、書類の郵送が滞ることを防ぎます。
また、源泉徴収票が届いたら、記載内容を確認し、間違いがないかチェックすることも大切です。
これらの手続きをしっかりと行うことで、源泉徴収票をスムーズに受け取り、確定申告や年末調整を滞りなく進めることができます。
退職前に確認すべき会社からの借用品リスト
借用品の確認方法
退職前に会社から借りている借用品をすべて返却することは円満な退職のために重要なポイントです。
まず、自分のデスクやロッカー、メールの記録を見直し、会社から借りているものをリストアップしましょう。
具体的には、社員証、制服、ノートパソコン、携帯電話、各種書類やマニュアルなどが該当します。
人事部や総務部に問い合わせると、退職時に返却すべきもののリスト・借用品の一覧を提供してもらえる場合もあります。
借用品リストの作成方法
借用品リストの作成にはExcelやGoogleスプレッドシートなどのツールを活用すると便利です。
項目ごとに物品の名前、返却期限、返却予定日、返却の窓口などを記入します。
リストを作成することで返却漏れを防ぎ、スムーズに返却手続きを進めることができます。
リストをもとにカレンダーやリマインダーを設定して、期限を管理することが効果的です。
借用品の状態確認と報告
借用品の返却前には物品の状態を確認し、必要に応じて清掃や修理を行います。
例えば、パソコンのデータをバックアップし、初期化することや、制服をクリーニングすることが含まれます。
状態確認後、リストを基に返却先(たとえば人事部や総務部など)に報告し、返却手続きを進めます。
物品の破損や紛失がある場合は速やかに報告して指示を仰ぎましょう。
退職代行後に残る未返却物の処理方法
未返却物の確認方法
退職代行を利用した場合でも未返却物が残ることはあります。
返却すべき物品が返却されていない場合は会社から連絡が来ると考えられるため、退職後も会社からの連絡(メールなど)は定期的に確認するようにしましょう。
未返却物の返却手順
未返却物がある場合はすみやかに返却手続きを行いましょう。
まずは会社に連絡して返却方法を確認します。
多くの場合、郵送や手渡しでの返却が求められます。
返却物には添え状に自分の名前と連絡先を明記して添え、送付先の住所も再確認しましょう。
郵送での返却時には追跡可能な配送方法を選び、返却の記録を残すことが大切です。
返却できない場合の対処法
返却物が破損している、または紛失している場合は、速やかに会社に報告し、指示を仰ぎます。
場合によっては弁償や代替品の購入を求められることがあります。
対応策として、返却物の写真を撮影し、状態を詳しく説明することが有効です。
不安がある場合は退職代行サービスに間に入ってもらって連絡を行いましょう。
特に同じ業界に転職する場合は、返却物に関する対応が転職後も信頼度に影響を及ぼす場合があります。
返却が難しい場合でも、誠実な対応を心掛け、会社との信頼関係を維持しましょう。
参考:退職時の返却物は郵送してOK?添え状は必要?紛失した場合についても解説|ハタラクティブ
参考:会社の制服は、退職時に「クリーニングして返却」と言われました。もともと給与から「買い取り」として天引きされていたのですが、違法ではありませんか? なんだか納得いきません… | 働き方 | ファイナンシャルフィールド
仕事・働き方に悩んでいたら。『Salad』が強みを活かす職のサポートをします
退職代行を利用してスムーズに退職するための2つのポイント
ポイント1.借用品の返却を忘れずに
退職代行を利用した場合でも、社員証や制服などの借用品をすべて適切に返却することが重要です。
返却リストを作成し、必要なものを確実に返却しましょう。
ポイント2.必要な書類の準備と提出
退職に伴う必要書類の準備も欠かせません。
退職届や健康保険証の返却など、必要な手続きを事前に確認し、漏れなく行うことが大切です。
これにより、退職後の手続きがスムーズに進みます。
退職は新たなキャリアのスタート、成長の機会
退職は新たなキャリアの始まりです。
経験を活かし、より長期的な目標に向かって、ポジティブに進めていきましょう。
また退職は成長の機会でもあります。
これまでの経験を振り返り、今後のキャリアに役立てるスキルを磨いていきましょう。
未来に向けて前向きな姿勢を持ち、新たなキャリアの成功を目指しましょう。
しっかりと準備を整え、次のステップへと進んでください。