スペックワークとは。障害者枠でデザイン・イラストの仕事に就くには

スペックワークの意味について知っておこう

スペックワークについて検証する男性

スペックワークとは

スペックワークとは、日本語に訳すと「投機的な作業」という意味です。無料で行われ、成果や結果によって報酬を得る可能性がある働き方になります。

スペックワークの業務の種類

スペックワークには、下記の種類が挙げられます。

【スペックワークの種類】
・コンペティション…賞の獲得、クライアント側からの採用を得ることを期待して行われる作業。クラウドソーシングなどでよくみられる。
・ボランティアの仕事…報酬が支払われることを期待せずに、好意的または経験のために行われた仕事。
・インターンシップ…教育的利益を伴うボランティア活動の形式
・奉仕活動…「公共の利益のために」行われるボランティア活動

アメリカのデザイン団体「AIGA」では、スペックワークについてこのように定義しています。

参照:仕様作業におけるAIGAの位置

障害者でデザイン・イラストの就職を希望していたら、スペックワークには注意しよう

パソコンでアート作品を作る、障害者の男性
自分の障害特性を活かして、デザインやイラストの仕事をしたい。このように考えている方もいるかもしれません。

デザイナーになりたい』『イラストレーターになりたい』と考えていたら、「スペックワーク」の意味について知っておきましょう。デザインやイラストなど表現が関わる仕事に多いスペックワークは、「コンペディション形式」です。通称「コンペ」「事業コンペ」と言われるもので、不特定多数の者から案(作品)を募集する形式です。

最近では、クラウドソーシングなどでもよく見られる形式です。クラウドソーシングとはインターネット上で仕事を募る働き方で、プロだけでなくどんな人でも受けられるチャンスがあるのが特徴的です。

筆者もアーティストとして、クラウドソーシングで様々なコンペディションを経験しました。具体的には以下の通りです。

【筆者の経験したコンペディション】
・ロゴデザイン…200件ほど提案し、採用(収入になったのは)は1件
・キャッチコピー…100件ほど提案し、採用は1件
・名刺デザイン…10件弱ほど提案し、採用なし

期間としては4カ月間ほど、主にこのような業務のコンペを受けたことがあります。この筆者の経験を踏まえて、今回は

・スペックワーク(コンペディション)のリスクや注意点
・障害を持つ方がデザインやイラストの仕事に就職するにはどうすればよいのか

この2点についてお伝えしていきます。

参考:»コンペのタダ働き問題 Toshi Omagari
参考:事業コンペ(じぎょうコンペ)とは – コトバンク
参考:クラウドソーシングとは – コトバンク

【体験談】スペックワーク(コンペ形式)でのリスク、注意点

スペックワークの意味について考える男性

労力に見合った報酬や結果になるケースは少ない

筆者はおよそ310件のあらゆる提案をして、収入になったのは2件です。金額からして、およそ2万円でした。さらに1件ごとに何作も提案しながら進めるものも考えれば、作成したものは全部で1000作は超えているという認識です。

締め切り近くまで『あなたの作品を採用します』という意思で来ても、締め切りギリギリになって他に良い作品があればバッサリと切られてしまう。それがコンペディション形式です。また、コンペで募集しても『採用該当なし』というケースもあります。もちろんどちらも、報酬はありません。筆者はそうした「労力の無駄」を何度も経験しました。

プロに見られるとは限らず、スキル向上や就職には結び付きにくい

事業コンペは、必ずしもプロが見て決める…と言うわけではありません。むしろ自身に専門的な経験やスキルがないからこそ、沢山の案を募って見比べないと分からない状況になるのかもしれません。これで何が言いたいのかと言いますと、『相手の評価や意見が、必ずしも成長に結びつくわけではない』ということです。

従ってコンペの結果によって自信を失うことや、自分のスタイルが分からなくなってしまう可能性があるということにつながりやすいことがあります。

もしスペックワークをする場合、目的や心構えは?

スペックワークで絵を描く男性

やり取りや作業の流れを知ることが目的とし、メインでは行わない

筆者がコンペ形式の業務を経験して得たものは、「作品をめぐる、相手とのやり取り」です。クライアントとコミュニケーションをとりながら

・作品の調整をする
・相手の要望を聞く
・相手に分かりやすく、複数の作品を提案するなどの工夫を行う

このようなやり取りを行うことで、作品とビジネスの関係を経験できたことは収穫でした。ただし、あくまでメインではなく「勉強」という位置づけを超えません。ですからコンペで採用され続けることでデザインやイラストの仕事に就く、ということは難しいのではないでしょうか。

障害者枠でデザイン・イラスト関係に就職するには、ポートフォリオを作成しよう

ポートフォリオの作品を制作する様子

では、障害を持つ方がデザインやイラストの仕事に就ける方法は何なのか。それは、障害者雇用などでデザイナーやイラストレーターとして企業に勤めることではないでしょうか。そして、そのためには履歴書や職務経歴書のほかに『ポートフォリオ』というものを作成することが大切です。

これはいわば「自分の作品集」になります。このポートフォリオが相手にも分かりやすいものか、かつ自分だけの個性が出せているかによって、就職できるかが関わってくるのです。下記の参照リンクを参考に、自分だけのポートフォリオを作って就職活動に取り組んでいきましょう。

参照:クリエイターの転職必須ツール、ポートフォリオの作り方 | マイナビクリエイター

就労移行支援で、ポートフォリオ作成について学ぶチャンスがある

就労移行支援のある、豊かな街並みのイメージ
ポートフォリオの存在を聞いて『どんなポートフォリオを作ればよいか分からない…』『作成には、どんなツールを使えばよいのか分からない…』このように感じたかもしれません。そのように迷っていたら、ぜひ就労移行支援事業所に相談してみましょう。就労移行支援は、障害や疾患を持つ方の働くニーズに合わせたアドバイスやトレーニングを受けられる福祉サービス施設です。

ここでポートフォリオの作り方や、関連ツール(イラストレーターやフォトショップ)を学べる事業所もあります。

筆者も就労移行支援に通って、ポートフォリオの作り方を学びました。さらにロゴデザインで採用された作品について、やり取りの流れもまとめたものも応募書類に加えました。理由は職歴がない分、これを実務経験の代わりとしてアピールするためです。

事業所探しに迷ったら、Saladにご相談ください

悩みを、個性に。
『ポートフォリオを学べる事業所ってどこにあるの?』『自分に合う事業所が分からない…』など、就労移行支援事業所を探すのに迷っていたら、ぜひSaladにご相談ください。

Saladでは、就労移行支援事業所に関する情報提供を行っております(Saladが取材した事業所に関して、こちらのページで紹介しております)。

お問い合わせやご相談は、こちらのお問い合わせフォームから行うことができます。ご連絡、お待ちしております!

まとめ

就労移行支援事業所で快適に過ごす様子
いかがでしたでしょうか。

筆者は「コンペで採用され続けて、いずれデザイナーとして働けたら」という気持ちで、スペックワークにトライし続けていました。しかし、その目標を達成するには厳しすぎる条件でした。スペックワークは、それをメインとして行うと心身の負担になるケースがあります。筆者も理不尽な不採用を受け、精神的に辛い時期を経験しました。現在はSaladのライターとして仕事をしながら、障害者アーティストとして活動する形をとっています。

イラストやデザインの仕事に就職するには、地道な道のりになるかもしれません。しかしポートフォリオを作り上げて自分の作風に合う企業を探していくことが大切です。その方が長期的に考えて、デザインやイラストで活躍しやすいのではないでしょうか。

【筆者紹介】
Salad編集部員。1980年生まれ男性。ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。かつHSPの気質も強い。コンペで採用されたロゴは、国内のカウンセリングルームでの「龍」のデザインである。

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