アンガーマネジメントとはなに?
アンガーマネジメントとは?
「アンガーマネジメント」とは、怒り(アンガー、Anger)を管理(マネジメント、Management)する心理療法プログラムをいいます。怒りを否定したものではなく、怒りの感情とうまく向き合うスキルです。
人間の怒りの原因は様々です。例えば、
・何かが上手くいかない時のフラストレーション
・自分にとってのこだわりや大切なものを邪魔されてしまったとき
・心の奥底にある恐れや不安に対して身を守るため
このような事態から問題やトラブルが起きないよう、アンガーマネジメントを習得し感情が爆発する前にうまく分散させるスキルが求められているのです。
精神障害、発達障害を持つ方が抱えやすいストレス管理にも役立つ
人間は怒りが爆発してしまう前に、感情を心の中に蓄積する仕組みを持っています。しかし、その許容量を超えてしまうことで『怒り』として現れてしまうのです。怒らないように制御していると、その根底となる不安や悲しみからなるストレスが溜まっていきます。
うつ病や双極性障害、パニック障害などの精神障害は、このストレスを管理するための精神状態を保ちにくい問題が出てきます。ストレスをためすぎてさらに症状が悪化してしまう危険性もあります。
発達障害は以下の
・不安が強い
・こだわりの強さや思考の食い違い
・衝動的に発してしまう傾向
これらの原因により、怒りの感情をコントロールすることが難しいケースがあります。よって、怒りの感情とどう向き合うかが、健康管理にも影響してくる可能性が高いのです。
参考:【精神科医が解説】ストレス障害の症状・診断・治療 | こころみ医学
参考:感情をコントロールできない:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト
アンガーマネジメントで、怒りのタイプを確認してみよう
今回は、アンガーマネジメントの怒りのタイプを紹介したのち、怒りの感情と向き合う方法をお伝えします。それぞれイライラを減らすコツも紹介しますので、『自分の怒りやすい事情はどんなことなのか』を探していき、トラブルや問題の原因を見つけるきっかけになれば幸いです。
【アンガーマネジメント】怒りのタイプ
怒りをコントロールするためには、まずは怒りの傾向を知ることです。アンガーマネジメントではいくつかのチェックテストを行い、その結果に基づいて怒りの傾向を知ることができます。テストを受けてみたいというときは、下記の参照リンクにアクセスしてみましょう。
公明正大タイプ
自分の考え方や信念を持ち、目標に向かって努力するタイプです。
【長所】
正義感、道徳心が高く他人から頼りにされやすい
【怒りやすいポイントは?】
ルール違反、規則や基準に従って行動しない行動を見ると怒りやすい。
【イライラを減らすコツ】
・自分のルールが絶対とは言い切れないと意識する
・他人の価値観は自分の価値観とは違うと意識する
・無理に考え方を統一させたいという意識を持ち過ぎない
博学多才タイプ
向上心が高く、トライする気持ちが強いポジティブなタイプです。
【長所】
困難に強く、どんな場面でも完璧を追求できる
【怒りやすいポイントは?】
自分にも他人にも厳しくなりがち。そのため、考え方が合わない人や考えを持たない優柔不断な人に対して怒りやすい。
【イライラを減らすコツ】
・周囲に自分と同じパフォーマンスを求めすぎない
・0か100か、YesかNoかという極端な思考を控える
・価値観が違う人からも成長のヒントを探してみる
威風堂々タイプ
自信があり、リーダー的素質を持つタイプです。
【長所】
周囲から頼りがいのある、憧れを持たれる人として見られやすい。
【怒りやすいポイントは?】
・思い描いた方向に物事が進まない、または進めてくれないことに怒りやすい。
・自分の評価を下げるような行動を受けた時に怒りやすい
【イライラを減らすコツ】
・思い通りの結果が得られないことイコール「否定された」ではないと意識する
・他の人が評価されたことのみでは、自分の評価が下がらないことを意識する
天真爛漫タイプ
自分の気持ちを正直に伝えることができ、行動力があるタイプです。
【長所】
行動力があり、素直であるために人から羨ましがられやすい
【怒りやすいポイントは?】
・空気を読むことを求められるなど、制限された状況に怒りやすい
【イライラを減らすコツ】
・必ずしも素直に表現することが美徳になるとは限らないと意識する
・衝動や勢いで行動するだけでなく、いったん立ち止まって考えてみる
・他者の意見に耳を傾けてみる
外柔内剛タイプ
表面上は穏やかに見えますが、自分の意思は強く持っているタイプです。
【長所】
決めたことは最後までやり通す粘り強さがある
【怒りやすいポイントは?】
自分の信条に合わないことが苦手。したくないことや自分のルールやこだわりに反する物事に遭うとストレスとなりやすい。
【イライラを減らすコツ】
・自分の中のルールやこだわりを見直してみる
・頼まれごとなどを制限する。許容量以上に引き受けない
・自分なりのストレス発散法を実践してみる
用心堅固タイプ
真面目で、物事を客観的に判断できるタイプです。
【長所】
慎重に行動するところや、責任感が強い
【怒りやすいポイントは?】
・他人に頼ることが苦手で、ひとりで抱え込みやすいためにストレスがたまりやすい。
・「あの人はこうであるに違いない」などレッテルを張る傾向があることで、嫉妬心を抱きやすい。
【イライラを減らすコツ】
・「こうであるに違いない」という思い込みをなくし、他者をよく見てみる
・自分が心を閉ざしたままでは、相手の本当の姿は分からないと意識する
・受け入れてもらおうと、過ぎた表現、誇張した表現をしない
怒りの感情をどうコントロールしたらよいの?
1:イライラしたら、6秒待ってみる
怒りのピークは、「6秒」だと考えられています。そのため、6秒を過ぎると怒りからなる衝動を抑えられるというものです。
つい「カッとなって」ものに当たってしまう、人に当たってしまうことはこの6秒以内に起こしてしまう行動と考えられています。
はじめは6秒が長く感じられるかもしれません。ですから6秒間耐えるために
・怒りの感情を紙に書き出す
・深呼吸をしてみる
・その場から離れてみる
などして、怒りの感情コントロールに慣れていきましょう。
2:「~であるべき」「~するべき」の考え方を見直してみる
怒りが起きる原因にも目を向けていきましょう。怒りを感じる原因の多くは無意識のうちに持つ価値観との違いを感じた時と言われています。
こうであるに違いない、絶対にこういうことだという自分の中の「~であるべき」「~するべき」という思考を見直してみましょう。
さらに詳しく知りたい場合は、「アンコンシャスバイアス」もチェックすると効果的です。こちらの記事を参考にして、自分の中の思い込みを振り返ってみましょう。
3:自分でできることにエネルギーを使う
アンガーマネジメントは、行動面にも意識が必要です。怒りの中には「他人を変えよう」など、自分ではどうにもできない事情で起こるものもあります。このようなことに意識を向けることを控え、自分でコントロールできるものに意識を集中させていくのです。
自分でコントロールできないことへのエネルギーを抑えることは、ストレス管理にもつながります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
精神障害や発達障害は、ストレスをためる機会が多くなりがちです。解消法が見つからない、周囲とのすれ違いが多いなど原因は様々ですが、怒りの感情をコントロールできることで改善につながるのではないでしょうか。
ストレスに悩んでいたら、ぜひアンガーマネジメントを実践してみましょう。