グッド・ドクター 名医の条件(2018年 アメリカ)はどんなドラマ?
「グッド・ドクター 名医の条件」あらすじ
自閉症とサヴァン症候群のあるショーン・マーフィーは一流大病院の外科研修医として採用されます。
しかし、病院の関係者は彼を推薦するグロスマン院長以外は全員が自閉症の医師の採用に反対。
周囲の反対やアクシデントを乗り越えて採用されたショーンは病院の医師 – 上司や同僚たちとコミュニケーションをとり、医療従事者のスタッフや患者を安心させ、信頼を勝ち得ていかなければなりません。
アメリカのドラマ「グッド・ドクター 名医の条件」は韓国のTVドラマ「グッドドクター」のリメイク版です。
視聴を決めた理由3つ
近年動画配信サービスで海外の映画やドラマが手軽に視聴できるようになり、私もさまざまなジャンルの番組を視聴するようになりました。
数多い番組の中からこの番組の視聴を決めた理由は主に下記の3つです。
主人公が自閉症という設定
当事者としては自閉症という設定の登場人物が出る作品はやはり気になります。
自閉症当事者の”周囲の人たち”がどのように描かれるのかも注目する点です。
主演はフレディ・ハイモア
フレディ・ハイモアは「ベイツ・モーテル(2013~2017/TVシリーズ)」のノーマン・ベイツ役、「チャーリーとチョコレート工場(2005/映画)」では主役のチャーリーを演じたイギリスの俳優です。
彼が自閉症の医師を演じるということで興味がわきました。
各種動画配信サービスで吹き替え版が視聴可能
各種動画配信サービスで視聴が可能です(※2022年2月現在)
参考:サヴァン症候群 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
参考:グッド・ドクター 名医の条件 シーズン1 | ソニー・ピクチャーズ公式(配信中の各動画配信サービスへリンクあり)
リアル⁉ な自閉症の障害特性の表現
ここが良かった
主演のフレディ・ハイモアによる自閉症の障害特性の表現には注目しました。
自閉症の人の障害特性で、通常は欠点とされるところも差別や悪意だけを強調するのではなくユーモラスにもとれるように表現されています。
たとえば初めのころショーンはバスが遅れたせいで遅刻したとき、遅刻したのは自分ではなくバスでぼくに責任はないと主張します。
しかし物語が進むにつれて少しの時間の遅れが患者の病状や命にかかわると理解していきます。
また就職と同時に一人暮らしもスタートしたショーン。
水道の蛇口が故障していてすぐ修理したいのに持っているはずのドライバーを見つけられない。
深夜の集合住宅でパニックを起こし騒いでしまいます。
他にも部屋の中の本が向きを揃えて積まれている・いつも同じ食べ物がある・乾電池を余分に常備しているなど、彼なりのこだわりが目立ちます。
最初は住みにくそうな印象の彼の部屋も、人を招くなどのいろいろな出来事を経て少しずつ過ごしやすそうな部屋になっていきます。
しょっちゅう感覚過敏の問題に直面したり、珍しい乗り物の仕組みを想像して夢中になっていたり、医師のチームでミーティングしている時1人だけどこか遠くを見ていたりもします。
このような自閉症の当事者の多くが経験しそうな細部には共感できると感じました。
フィクションならでは? 現実とは違うところ
“仕事で天才的な能力を発揮する自閉症の人”はリアルではない?
これは多くの自閉症当事者がフィクションでの描写に悩まされている点かもしれません。
現実でもフィクションやメディアに影響されて親しくもない自閉症当事者に「自閉症の人は何か特別な才能があるんだよね?」と質問する人もいます。
魅力的な物語を作る上では必要だったかもしませんが、自閉症=天才だけでない物語にももっとスポットが当たってほしいです。
フィクションならではの理想的な未来像
自閉症の人(障害やハンディキャップのある人に対して)多くの人が寛容さや親切さを発揮していて、現実とかけ離れた印象をうける部分もありました。
フィクションにおいて望ましい未来を描くことは、今後障害などの人それぞれの事情が理解され受容されるために良いことなのかもしれません。
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まとめ
それでも「グッド・ドクター 名医の条件」はおすすめ
気になる点も挙げさせてもらいましたが、それでも私は「グッド・ドクター 名医の条件」は自閉症当事者を描いた作品としておすすめできると思っています。
いくつか理由を挙げて説明します。
自閉症の人の生活上の困りごとがリアルに描かれている
ショーンは「医師」で「天才」「特別」で、自分でもそのことには自信を持っていますが、一人暮らしを始めた人として平凡な問題に次々ぶつかり、そのたび周囲に迷惑をかけます。
彼が日ごろ起こす問題は実際にあることばかりなので、将来的に一人暮らしやグループホームなどでの生活を目指している人にも参考になるでしょう。
ショーンの直面する問題に対して具体的に誰が何をどうすれば解決するのか? または事前に防げるのか? などと考えてみることはヒントになりそうです。
コミュニケーションの問題が頻繁に起きるが、解決までのヒントが示される
ショーンはコミュニケーションが苦手で一緒に仕事をする周囲の人たちに意図が伝わらず、不適切な表現で患者と家族を動揺させてしまいますし、プライベートでも次々トラブルを起こします。
しかし作中で問題解決へのヒントが示されます。
解決への道のりはショーン(当事者)側がルールやコミュニケーションを覚えていくことの場合も、周囲がショーンに歩み寄り接し方を変えていくものの場合もありますが、現実でもどちらも必要という点で参考になると思います。
さまざまな病気、障がい(中途障がい)の人々の心の動きが描かれる
ショーン以外にも患者や病院関係者としてさまざまな障がい・病気・ハンディキャップのある人たちや差別を受ける人たちが毎回登場します。
ショーンだけでなく彼らの状況や抱える問題も同じく重要なものとして描かれているのも見どころです。
こんな人におすすめしたい
実際に観て、こんな人たちにヒントや共感できる点、参考になる点がありそうな作品だと感じました。
- ・自分の能力を生かし切れていない、フェアでない扱いをうけていると感じている自閉症や見た目で分かりにくい障害(病気)の当事者
- ・障害のある人の家族・きょうだい
- ・障害のある人の支援者、友人
登場人物がみんな必ずしもショーン/障害のある人に親切に接してくれるわけではありません。
確実にある障壁や差別とどのように向き合い、現実的にどう対処していくかを描いているところが良いからです。
参考:『グッド・ドクター名医の条件』あらすじ&キャストを総まとめ♡9月にAXNで2週連続一挙放送! | 海外ドラマboard
【筆者紹介】
Salad編集部員。ASD(自閉症スペクトラム障害)。海外ドラマは動画配信サービスを利用してときどき視聴する。