アドボカシーとアドボカシー活動について
アドボカシーという言葉の意味
アドボカシーいう単語自体は擁護する・支持するといった意味の言葉です。ほぼアドボカシー活動と同じ意味で使われます。
立場の弱い人、自分で意思を伝えられない人に代わって代理人が意思や権利について伝えることを言い、権利擁護活動・政策提言活動とも訳されます。
アドボカシー活動とは
アドボカシー活動とは
アドボカシー活動とは、権利擁護のために課題の解決や不公正の解消を求めて、影響力を持つ組織や個人に訴える活動です。
下の参考リンクのユニセフのアドボカシー活動を例に挙げると、ユニセフは子どもの権利を守るために、子どもに関する政策や施策について議員や自治体へ提言を行っています。
障害者雇用とアドボカシー
障害者雇用で就職したり、支援や配慮、障害への理解を求めるときのポイントになる言葉がセルフアドボカシーです。
「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、雇用の分野で障害者に対する合理的配慮の提供が義務付けられています。
たとえば身体障害で移動が困難な人や車いすを利用している人が勤務場所の建物に手すりやスロープなどの設置を求めるなど、障害のために困難な問題を解決するための配慮を求めることは合理的配慮になります。
また、読み書き障害のため、手書きでメモを取るのが困難なために電機の利用を許可してもらうことも合理的配慮です。
前者の身体障害の人のためのスロープなどは、本人が言語化しなくても実現されやすい配慮ですが、後者の読み書き障害は障害者本人の求めや訴えにより配慮がなされる場合が多くなるかと思います。
このように、問題の解消のために本人が権利を主張することがセルフアドボカシーです。
参照:雇用の分野で障害者に対する差別が禁止され、合理的な配慮の提供が義務となりました|厚生労働省
参考:セルフアドボカシーとは : 発達障害 総合 – 株式会社Kaien
障害者の権利とアドボカシー
障害者雇用の場合以外でも、障害者が権利を得るためにアドボカシー活動を行う場合があります。
下記の参考リンクの例では、タイで地域住民の障害者が、道路のバリアフリー化を求めてアドボカシー活動をした事例が紹介されています。
地域での暮らしや教育など、仕事以外のシーンでもアドボカシー活動・セルフアドボカシーによって権利を獲得できる機会があるという事です。
マイノリティの権利とアドボカシー
子どもや障害のある人など、自らの意思を伝えるのが困難な人以外のためのアドボカシー活動の事例も紹介します。
下記の参考リンクでは、NPO法人によるLGBTなど少数派(マイノリティ)の権利についてのアドボカシー活動についてまとめた記事が紹介されています。
たとえばLGBTの成人は必ずしも言葉やコミュニケーションに困難があるわけではありませんが、多数派(マジョリティ)の人に比べて権利が制限されており、周囲から偏見の目で見られたり、差別を受けたりするおそれもあるので、自ら声を上げるのが困難な状況です。
この団体では自治体のLGBT支援策を応援したり連携してLGBTへの支援を行うアドボカシー活動を行っています。
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まとめ
支援者の力を借りる方法もある
アドボカシー活動について例を挙げて簡単に説明してきましたが、特に一般企業で働く障害当事者は自分にも関わりのあることだと感じられたのではないでしょうか。
アドボカシー活動について知り、必要に応じてセルフアドボカシーを行うことにより、問題や不安を解消し、より自分の得意なことや能力を活かして仕事に取り組むことができるようになることもあります。
自分から配慮を求めるのは図々しいと思われるのではないかと心配になるかもしれませんが、障害者へ合理的配慮を提供するのは法律ですべての事業主に義務付けられています。
求めた配慮が求めた形で実現するとは限らず、事業主が可能な範囲と手段で別の形の配慮が提案される場合もあります。
一人では難しいときは、支援者の力を借りるという方法もあります。
困りごとを信頼する支援者に詳しく伝え、どのようにアドボカシー活動を行えば望む権利や支援が得られるかどうか話し合いをすると、課題や解決策へのヒントが得られるかもしれません。
就職や仕事についてのお悩みは、Salad編集部でも受け付けています。お問い合わせのページからご連絡ください。
参考:「セルフアドボカシー」ってなに?発達障害の子どもたちのために解説します : 発達障害 小中高生のための「合理的配慮」教室 – TEENS