サービス
多摩地域IPS就労支援センターリスタ八王子では、主に精神障がいをお持ちの方で求職中の方、あるいは休職中で復職を目指す方に対し、「IPSモデル(個別就労支援)」に基づいた支援サービスが提供されています。
リスタ八王子の、『多摩地域IPS就労支援センター』という名称に込められた思い
リスタ八王子の屋号において、「障害」や「福祉」といった名称が使われていないことには、理由があります。
世の中で、働きたくても働くことができない困難というのは、障害や福祉に限定されるものではないためです。母子家庭の方や、貧困が原因であることなど、多様な層の困難さに価値提供するとの思いが『多摩地域IPS就労支援センター』という名称に込められています。働きたいけど、働くことができないひと全てを対象としたサービスを展開していきます。
IPSモデルとは?
IPSモデルとは「Individual Placement and Support」の頭文字をとった就労支援モデルです。1990年代前半にアメリカで開発されました。
IPSモデルには「症状の軽重や職歴の有無などに関わらず、障害をもつ本人に “働きたい” という思いがあれば、就労に向けたサービスを提供する」という原則があり、リスタ八王子ではIPSモデルに則って、一人ひとりに最適な支援をおこなっています。
働くことに迷っている方へ向けたコースを拡充予定
社会復帰には本人の「働きたい」という思いが大切ですが、「働きたい」という思いに確信を持てていないまま日々を過ごしている方も少なくないのではないでしょうか。
リスタ八王子では、「働きたい/働きたくない」のあいだで悩みを抱えている方にも支援サービスを提供できるよう、「社会と自分コース」を新たに開設予定です。「自己洞察」「セルフケア」「社会体験」「基礎体力」「生活課題」というテーマに基づいたカリキュラムが更に拡充される予定で、さまざまなことに取り組めます。
社会と自分コースでは、IPSモデルによる就労支援を受ける前段として、これからどのような人生や生活を送りたいのか、働くとしたらどのような働き方(通勤/在宅、一般雇用/障害者雇用など)がよいのか、自己決定をおこなうための知見や経験を積み重ねるサポートが受けられます。
カリキュラム
リスタ八王子では、完全に「1 on 1」で支援カリキュラムを組んでいます。訓練型のプログラムのようにパソコンスキルやビジネスマナーについて同じ時間に全員で学ぶのではなく、一人ひとりに最適な取り組みを考え、実践できるようなオーダーメイドの仕組みとなっています。
SST(“Social Skills Training”の略で、生活技能訓練とも呼ばれる)やWRAP(自分の状況や状態を把握し、対処を身につけていくプログラム)など、科学的に効果があると認められている取り組みもおこないますが、それだけに囚われず、例えば「ラーメンを食べに行く」(外出すること、食券を買うという体験に意義がある)など、本人にとって価値のある体験となりそうな取り組みを希望すれば、支援スタッフの方々にも積極的に協力してもらえます。
スタッフについて
IPSモデルを導入し、独自の支援をおこなっている日本では数少ない事業所であることもあり、これまでの福祉を変えていきたい、イノベーションを起こしたいという想いを持つスタッフが揃っています。
スタッフの方々は温かい雰囲気をお持ちで、今回のインタビューにあたっても丁寧にご対応いただけました。普段の支援のようすが垣間見えるひとときでした。
就職活動時、就業後のサポート
働くことを重視したIPSモデルに則って個別支援をおこなっていることもあり、多くの方が就職されています。直近2ヶ月(2019年2月~3月:取材は2019年4月に実施)で7名の方が就職され、年間でも定員の半数以上の方が就職に成功されています。
就職された方の6ヶ月後の就労定着率も約85%(2017年度)と高く、リスタ八王子の支援モデルが大学の研究対象となるほどの成果を挙げているそうです。
ただし無理に環境調整をおこなって定着を勧めるのではなく、就職した本人の意思を尊重した支援を継続しています。
どんな人生を送りたいか、目的を定め、その実現に向けたサポート
前段階として、どんな人生を歩みたいかをお聞きしています。
自己決定は尊重されるものですが、いろいろな経験が重なり合って、適切な自己判断ができるようになります。働く前の体験を増やすことが重要だということです。そのプロセスを適切に行う前に、支援者の都合で本人の判断であると綺麗事のようにいうことは、全く違うと考えています。
そこが考えられないまま、真なる声ではないかもしれない声を、本人の希望であると断定する支援は行いません。自己洞察を深める機会の創出、セルフケアの実践、社会体験を提供を行っていきます。
職業準備性の訓練ということではなく、「働くか、働かないのか」の判断材料を得るための場として、社会の実情に基づいた意思決定のための場を提供しています。
事業所の設立経緯
現在リスタ八王子のセンター長を務める飯田さまは、かつて企業経営をおこないながら生活困窮者の支援活動にも携わっていらっしゃいました。その過程で、当事者の方の人生がかかわるものの、福祉の現場にはイノベーションが起こせる余地がたくさんあることを実感し、そのような現状を何とか変えたいという想いから、リスタ八王子の設立に至りました。
理念、ビジョン
リスタ八王子は “「福祉」と「就労支援」の常識の壁をハイジャンプしてゆく” というコンセプトを掲げています。
現在は障害福祉サービスという枠組みで就労支援をおこなっていますが、障害を持つ方に限らず、生活困窮者やニートなど、「働きたいけど働けていない状態」にあるすべての人に働く機会を提供できる「ユニバーサル就労」を実現するというビジョンがあります。
「多摩地域IPS就労支援センターリスタ八王子」と呼称しているところからもその理念がうかがえます。そして、今後拡充予定の「社会と自分コース」は、理念実現に近づく新たな取り組みといえます。
事業所の現状の課題
リスタ八王子の取り組みを、より多くの企業側に伝達していく必要性があるそうです。
日本に限らず、障害を持つ方が働くための尺度や基準はなく、科学的なエビデンスはありません。障害を持つ方に向けた支援を行う福祉の業界と、ビジネスの世界の常識との乖離があります。ここのビジネスの世界にもっと入っていかないといけないと考えています。
そのため、リスタ八王子では企業との接点構築に積極的です。
支援においても、職業準備性ではなく、社会を知り自己洞察できる働く価値観を磨くことを重視しています。だからこそ、症状の軽重にかかわらず利用したい方を受け入れています。基本的に「利用に向いていない方はいない」と捉えてサービスを提供しています。
メッセージ
「働きたいという思いを持つ方は、必ず働くことができるようになる」という信念に基づいてIPSモデルを採用されていることに加え、「自分が本当に働きたいと思っているのか分からない」という方に対しても様々な体験の場を提供されているリスタ八王子では、すべての働きづらさを抱える方に扉が開かれていました。
「ITスキルを身につけたい」「事務の職種で働きたい」など、まだ具体的な目標が定まっていない方にとっては、リスタ八王子に相談してみることで、新たな一歩が踏み出せるという期待が湧いてくることと思います。
多摩地域にお住まいの方には、一度お話を伺ってみることをおすすめします。
salad編集部
法人概要
名称 | 多摩地域IPS就労支援センター リスタ八王子|東京都八王子市 |
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サービス種別 | 就労移行支援 |
利用時間 | 10:00~15:00(土日祝休) |
対象となる方 | 障がいがあり、単独で就職することが困難であるため、就職に必要な知識及び技術の習得もしくは就職先の紹介、その他の支援が必要な65歳未満の方。 |
所在地 | 東京都八王子市横山町3-6 八王子横山町JEビル6階 |
交通手段 | JR八王子駅北口より徒歩5分・京王八王子駅より徒歩5分 |
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HP | http://resta8.net/ |
この事業所の運営組織 | 合同会社CFW |