大切な家族を、介護施設に預けなければならなくなった時、どういう基準で選べばいいのでしょうか。
利用希望者が介護施設の利用を開始したのちに、不満がでてきて別の施設に移ろうと思っても、実現はなかなか大変なものです。
爪ケア専門家の松本めぐみさんは、介護施設を選ぶ際には、
「実際に施設内を見学し、利用者さまの足の指をチェックしてみるといい」
とお話されます。
爪ケアで、介護施設の質が判断できる
高付加価値のサービス(爪ケアなど)を導入するメリットが、施設運営者側にまだ周知されていない現状です。
利用希望者の多くは、施設の内装などの雰囲気や、施設側の説明内容で選びがちです。付加価値をつけるべきは、施設の豪華さではありません。利用者に対して本質的なケアを行なっている介護施設は、利用者の身体的な細かい部分に気を配っているのです。
介護施設側が 本来努力すべき点をおざなりにしていても、利用者の介護施設への利用需要は高まっていますが、介護業界全体として高付加価値のサービスを導入しようという動きは、なかなか活発にはなっていません。
そんななかでも、きちんと利用者視点のサービスを導入している介護施設は確かに存在します。
松本さんは、介護施設を見学する際の着眼点として、「施設の部屋が掃除されており、衛生的なことは当たり前。その利用者さまの肉体を見た方がいい。体を動かせる方にはもちろん、寝たきりの方にもケアが行き届いていると離れていても家族が安心できる。手の爪、足の爪などの爪ケアの質が、介護施設を選択するうえでいい判断軸となる。」と指摘します。
特に、足の爪はあまりケアにおいて重要視されないものの、ほっておくと例えば巻き爪が重度になってしまい、歩くたびに痛みを生んでしまい、歩く意欲を失ってしまうことも。
高付加価値のサービスを自社なりアウトソーシングで提供できる介護施設は、うわべだけではない本質的な介護を志しているとも言えます。
介護施設の現場では高齢者の爪ケアを行える専門職が足りない
介護現場では、爪に関する保険報酬が少ないそうです。 法改正は期待できないため、爪ケアを行うことのできる職員を増やそうとする動きはどうしても鈍化してしまいます。 ただ、伸び続ける爪を適当に切るだけでいいとも言えません。
ここに向き合い、痒いところに手が届く介護体制を整えている介護施設は、信頼できる施設である可能性が高いです。
爪ケアは医療行為?
爪ケアは医療行為ではなく、看護師などの医療の専門資格を持たなくても、利用者に対し行うことができるようになりました。
介護現場で爪を切るのに、資格は必要か
とはいえ、質の高いサービスを提供するには、一定の基準を儲ける必要があります。
松本さんは、介護職や鍼灸師、接骨院で働く方々、訪問理美容やネイリストなどに対しても、爪ケアの技能検定を設け技術指導を行なっています。
介護現場で利用者に対し爪ケアを行うにあたり、資格は絶対に必要というわけではありませんが、利用者の気持ちを汲み受け入れる姿勢と、巻き爪などの対処には高度な技術も必要になります。爪ケアを行うと、爪の状態が良くなるだけでなく、将来の悪化を予防することもできます。
介護施設で行う爪ケアは、アートではなく実用性を重視
足の裏のツボ押し、もむ、ということは自分でもできますが、爪に関しては、若いうちから正しくケアをできていないと、年齢を重ねた際にどうしても歪みがひどくなり処置の難しい爪となってしまいます。
手でも足でも、指先の痛みや違和感は、心理的な負担も大きくなります。
介護現場向けの爪ケアは、アートというよりも、日常生活を健やかに過ごすための実用性を重視しています。
爪ケア専門家の松本さんの思い
松本さんご自身の人生、介護の経験において、『人の役に立つ、相手のために軸を置く。
その方が、跳ね返ってくる幸せがとても大きい』ことに気づいたそうです。
今まで見て見ぬ振りをしてきたトラブルに対し、自分とは関係ないと流してしまうと、もっと学ぼうとする自己投資欲があっても、中途半端な習得になってしまいます。
『それではダメだよな、ということから目を逸らさず、一つひとつに向き合う意識を高め、倫理的成長につなげていく』そのような成長のきっかけを、爪ケアを通して提供できたらと考えているそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
介護業界はまだまだ課題が多く、施設のスタッフの方々が「自信を持って自分の親にも勧められる!」という施設はまだまだ多くないそうです。
素敵な事業所を判断するわかりやすい着眼点の一つとして、爪の処置の質があげられますが、大事なことは、利用者が健やかに安心して過ごすために、本質的なケア(一人ひとりに向き合う意識が行動として現れている)を行なっているかどうかです。
利用者の自立を損なうことなく、歩きやすさや動作がしやすいケアについて、相談したいことがあれば、松本さんに相談されてみてはいかがでしょうか。大切なご家族が、健やかに過ごしていくために、少しでも役に立てたら幸いです。