十字の赤いマークは何?ヘルプマークの意味を知っておこう

十字の赤いマークを知っていますか

ヘルプマーク

ヘルプマークとは

上の画像の赤い十字のマーク、街で見かけたことはありませんか?これは、『ヘルプマーク』というものです。

このヘルプマークとは、障害が外見では分からない人々が、周りに配慮を必要ということを知らせることで、援助や支援を得やすくなるように作成された、東京都によるピクトグラム(視覚記号)です。

・義足や人工関節を使用している方
・内部障害や難病を持つ方
・精神障害や知的障害を持つ方
・妊娠初期の方

主にこれらに該当する方が支援を受けやすくするために身につけることが目的です。障害や難病を持っていますと、日常生活のあらゆる場面で援助や支援が必要になるケースがあります。しかし、高齢の方や怪我をしている方、車いすを利用している方などとは異なり、周囲から障害や症状が見えないことでサポート受けにくい問題があるのです。

例えば客観的に見れば他と変わりないように見える人が、バスの中などで『席を譲ってもらえますか?』と言ってきたときにどう思いますか?『どうして譲らないといけないのかな?こっちも疲れているのに…』と感じることもあるのではないでしょうか。相手の言い方や口調によっては『偉そうに言うな!』と思うケースもあるかもしれません。

しかし、『困難を抱えている』ことが目に見えていたらどうでしょう。『何か座りたい事情があるのかな』『辛いのかな』などと考えやすいですよね。この役目を果たすのが「ヘルプマーク」なのです。

参考:ヘルプマーク 東京都福祉保健局

ヘルプマークは公式な場面にて認知され始めている

2012年7月にJIS(案内用図記号)が改正されました。このときにヘルプマークも「案内用図記号」として追加されています。これはオリンピック開催などに向け、外国人観光客にも分かりやすい案内用図記号とすることが目的です。

著作権は東京都に帰属し、商標登録されていて、ヘルプマークの趣旨に合致すれば作成・活用することが認められています。しかし寸法や比率を含めてガイドラインに従う必要があります。対象者は、義足や人工関節を使用している人、内部障害や難病の人、妊娠初期の人、精神障害や発達障害、知的障害を持つ人などの援助や配慮を必要としている人です。

入手方法は全国の自治体で配布してますが、配布していない自治体もあるので確認の必要があります。(一部の自治体で郵送をしてます)
一部を除いて配布の手続きをしないで簡単に入手できてしまうため、援助を必要としない人が悪用したり、利益を求めてオークションなどで転売をされているという悲しい事が起きています。

参考:ヘルプマークのJIS(案内用図記号)への追加について |厚生労働省
参考:助け合いのしるし ヘルプマーク | サイトポリシー

当事者が困っているケースがある

目に見えない不安を抱えている男性

ヘルプマークを着用しているのに、声をかけてもらえず不安になるケースもある

ヘルプマークを付ける方の悩みとして、「せっかく勇気を出して着用しても、周囲に気づいてもらえない」というケースがあります。中には『付け始めて2年にもなるのに、全く声をかけてもらえない』という例もあります。災害や事故時にはどんな人でも不安を感じることはあるでしょう。しかしヘルプマークを付ける方の多くは普段の日常生活においてもこのような不安を抱えるケースがあるのです。このような不安が重なってしまうことで、外出できないという事態にもなりかねません。

現状では、ヘルプマークについての認知度は低い

現状では、当事者を除きヘルプマークに関しての認知度は低いです。そのため、バスの中などでヘルプマークに気づかれずに席を譲ってもらえなかったり、『偉そうだ』と言われてしまうなどのケースも出ています。大変かも知れませんが、ヘルプマークの着用を継続して、本当に困った時には筆談や簡単な説明などをして状況を伝えるなどの工夫も求められるでしょう。

参考:知っていますか? “助けて”のマーク | オリンピック | NHK生活情報ブログ:NHK

さて、このような問題を少しでも解消させるためには、実際に『ヘルプマークを付けている人を見かけたらどうすればいいのか』を知っておく必要がありますよね。そこで今回はヘルプマークを見かけた場合の行うことについて、様々な障害を持つ方が困難に感じていることを踏まえながら紹介していきましょう。

ヘルプマークを見かけたときに気を付けること

ヘルプマークのイメージ画像

電車やバスなどの交通機関内では、席を譲るよう心掛ける

ヘルプマークを付けている方たちは、外見上は全く健康なようでも実際には疲れやすかったり、バスなどの閉鎖された空間で不安や緊張が高まってしまうなどの事情を抱えています。そのため、電車やバスでヘルプマークをつけ、立っている人を見かけたら席を譲るよう心掛けましょう。

相手も遠慮して、断られてしまうこともあるかもしれません。しかし声をかけるというだけでも大切な支援になることを覚えておいてください。

交通機関の事故など、突発的な出来事があった時は声をかけ誘導するよう心掛ける

例えば出勤中や移動中など、電車が事故の影響で止まってしまったとしましょう。障害を持たない方であれば、アナウンスを聞いて状況を確かめることができるでしょう。しかし、ヘルプマークを付けている方にはこのような可能性があります。

・聴覚障害を持ち、アナウンスを聞き取ることができない
・精神の障害を持ち、突発的な出来事に激しく動揺している

他にもさまざまな「目に見えない不安要素」を抱えているケースがあるのです。聴覚障害を持つ方の場合、人工内耳や補聴器をつけていても目立たないために、他の方と同じように見てしまうことがあるかもしれません。

これらを含め上記のような突発的な出来事があったときにヘルプマークを付けている方を見つけたら、『大丈夫ですか?』と声をかけるように心がけてみてください。もし聞き取っていないような感じであれば、スマートフォンなどのメモ機能などで筆談しても良いでしょう。さらに余裕があれば、現在の状況や対処などを伝えるなど誘導してあげることも大切です。

地震や火災などの災害時は、声をかけ安全に避難するようサポートする

地震や火災などの災害があった時、周囲の案内を見ることやアナウンスを聞いて対処することがあるでしょう。しかし例えば、視覚・聴覚障害などを持つ方は、状況把握に苦労しているケースなども考えられます。または情報をキャッチできていても肢体不自由などで自力で迅速な避難をすることが難しい方もいます。義足を付けていたとしても、その上にズボンやスカートを履いていたら外からは全く困難さは分からないわけです。このような場合でも、ヘルプマークを付けている可能性があります。

地震などの災害時にもまずは『声かけ』が最重要です。何よりも当事者の不安を解消させてあげることが一番の支援です。そのうえで安全に避難できるようサポートするよう心掛けていきましょう。

これらのケースでもしヘルプマークがなかったら、苦しさや困難に気づきにくいですよね。『自分と同じことはできるだろう』と考えてしまうかも知れません。ヘルプマークでもって、障害や難病を持つ方が勇気を出して『助けてほしい』『サポートしてほしい』という意思表示をしているのです。その気持ちを汲み取ってあげるよう考えてみることもまた、支援です。その他こちらで詳しく紹介されていますので、併せて参考としてみてください。

まとめ

多様性に満ちた老若男女の集合
いかがでしたでしょうか。

ヘルプマークは義足や人工関節を使用している人、内部障害や難病などの外見では困難さかわからない人が、生活のあらゆる場面で配慮が必要ということを知らせ、援助や支援を得やすくなるように作成されました。

その援助や支援を求めてる人は、声をかけてもらうだけでも安心できるのです。ですからヘルプマークを身に付けている人を見かけたらまず、『大丈夫ですか?』と声をかけることから始めてみませんか。

※この記事は、就労継続支援A型事業所「KEIPE甲府」のメンバーさんが書いています。

この記事をシェアしましょう!